私たちが「直接お肌につける全ての日用品」は、薬機法(やっきほう)という法律によって厳しく規制されています。この法律によって、直接お肌につける製品は「医薬品」・「医薬部外品」・「化粧品」の3つのうちのどれかに必ず分類されます。
「まつげ美容液」と「まつげ育毛剤」も例外ではありません。
「医薬品・医薬部外品・化粧品」は、それぞれ「目的」や「配合されている成分とその有効性や安全性」に違いがあります。さらに、その分類によって「広告規制」や「可能な広告表現の内容」も異なってきます。
では、具体的に「医薬品」・「医薬部外品」・「化粧品」とはどういう内容なのでしょうか?
このページでは、薬機法が一体どういう法律なのかを詳しくみていきましょう。薬機法を理解することで、まつげケア用品をより深い視点から選べるようになります。
薬機法(旧薬事法)の分類
薬機法の正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といいます。この法律は、厚生労働省により明確に分類が定義されています。
「医薬品」・「医薬部外品」・「化粧品」の詳しい内容を、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」より引用して、個別に見ていきましょう。
医薬品とは
まず、医薬品の定義になります。
薬機法第二条第一項
この法律で「医薬品」とは、次に掲げる物をいう。
一 日本薬局方に収められている物
二 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう。以下同じ。)でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)三 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)
なんだかカタ苦しい言葉がならんでいますね。
簡単に言うと「医薬品」=薬です。目的は、病気の治療や予防です。薬は有効成分の有効性を厚生労働省により認定を受けたものなります。
つまり、目的に対する効果が保証されている製品ということになるのです。
医薬品(薬)には、医師の処方箋が必要な「医療用医薬品」と、薬局やドラッグストアで買える「一般用医薬品(OTC医薬品)」があります。
成分の表示については、全成分表示が義務です。
広告表現は、「発毛」や「毛を生やす」とはっきりと記載することができます。
医薬部外品とは
次に、医薬部外品の定義を見てみましょう。
薬機法第二条第二項
この法律で「医薬部外品」とは、次に掲げる物であつて人体に対する作用が緩和なものをいう。
一 次のイからハまでに掲げる目的のために使用される物(これらの使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
イ 吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
ロ あせも、ただれ等の防止
ハ 脱毛の防止、育毛又は除毛
二 人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみその他これらに類する生物の防除の目的のために使用される物(この使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
三 前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物(前二号に掲げる物を除く。)のうち、厚生労働大臣が指定するもの
「医薬部外品」は、厚生労働省の認可をうけた有効成分が配合されていますが、病気の予防のみが目的の製品です。
厚生労働省に認可されているからといって、効果の認証はされていません。なので、医薬品と違って病気の治療効果は医学的に証明されていません。
そして、全成分の表示はしなくてもよいが、*「指定成分」は表示する義務があります。表示方法は「有効成分」と「その他の成分」を分けて表示し、その他の成分の表示順は、配合量は関係なく順不同でよいとなっています。
(*指定成分とは、人によってはごくまれにアレルギーが出る可能性がある成分のこと。)
「医薬部外品」もしくは「薬用」と表示し、広告表現は劇的な効能をうたってはダメですが、ある程度の効果・効能は記載できます。(たとえば発毛はNGだが、発毛促進はOK!)
化粧品とは
最後に、化粧品の定義になります。
薬機法第二条第三項
この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第一項第二号又は第三号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く。
「化粧品」は、人体や容姿を清潔にし、美しく健康にすることが目的で、厚生労働省の承認・許可の必要がありません。そのため、効能や効果などの有効性は医学的に実証されていないのです。
厚生労働省の認可の必要がないといっても、実は使用する成分には規定があり、何を使ってもいいわけではありません。
そして、「全成分表示」が必要で、配合量の多い順に記述することが義務づけられています。
広告表現は、劇的な効果をうたうのはNGで、記載できる効能も医薬部外品より少ないです。
「薬機法」の分類で見ると、医薬品→医薬部外品→化粧品の順で、成分の作用の強さの目安になります。広告の表現もそれぞれで使ってもいい言葉と禁止されている言葉があるなんて驚きですね。
●薬機法の分類と内容の表
大分類 | 小分類 | 使用目的 | 厚生労働省との関連 |
医薬品 | ★医療用医薬品 | 病気の治療や予防を目的 | 有効成分の効果・効能が認定 |
★一般用医薬品 (OTC医薬品) ・第一類医薬品 ・第二類医薬品 ・第三類医薬品 |
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医薬部外品 | ★医薬部外品 ★指定医薬部外品 ★薬用化粧品 |
病気の予防のみを目的 具体的には以下の目的のこと。 ・吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止 ・あせも、ただれ等の防止 ・脱毛の防止、育毛又は除毛 |
認可をうけた有効成分が配合されている |
化粧品 | ★化粧品 | 身体や容姿を清潔にし、美しくしたり健康にしたりすることが目的 | 承認・許可の必要ナシ |
ここまでで、「薬機法」の分類とその内容がどういうものかが分かったと思います。
では、「まつげ美容液」と「まつげ育毛剤」は薬機法の中ではどこの区分に入るのでしょうか?
まつげの「美容液」と「育毛剤」の薬機法での分類
実は、「まつげ育毛剤」は医薬成分が配合されているため、「医療用医薬品」のみしかありません。一方、基本的に「まつげ美容液は」天然成分が主成分の「化粧品」になります。
「まつげ育毛剤」は強い効果を発揮しますが、薬という位置づけのため、副作用とは切っても切れない関係があります。そのため、私個人的には、薬は長期利用のリスクが高いため継続して使用するものではないように思っています。
様子を見ながら短期間の使用は良いとは思いますが、長期使用するなら化粧品分類のまつげ美容液をおすすめします。
●薬機法とまつげケア用品の関係
薬機法の区分 | まつげケア用品の分類 |
医療用医薬品 | まつげ育毛剤 |
化粧品 | まつげ美容液 |
まとめ
私たちが普段使うお肌にふれる日用品は、薬機法によって管理・分類されていることがお分かりいただけたと思います。
まつげケア用品も薬機法で「医薬品」・「医薬部外品」・「化粧品」に分類され、内容成分、効果の度合いや信頼度も区分によって全く違うものでしたね。
まつげケア用品の違いを知るには、まず分類を意識してみましょう。そして、分類による目的、効果、副作用、内容成分、などの特徴を理解することです。すると、自分の求める結果を得ることができるでしょう。
まつげの長さを伸ばしたい場合は「医薬品」が高い力を発揮します。しかし、そのぶん副作用の症状も大きいので、長期間の利用は気をつけなければなりません。
全てのまつげケア用品は使い続けることが重要です。
睫毛貧毛症(まつげひんもうしょう)などの深刻な状況である場合以外は、使い続けられる「化粧品」のまつげ美容液がよいでしょう。