まつげを抜くクセがあり、やめようと思ってもやめられない。そんな悩みを持っているあなたは、「抜毛症」かもしれません。
抜毛症は、髪の毛・わき・眉毛・まつげなど、体毛を抜くことがやめられない病気です。人によって抜いてしまう部位が異なり、時期によって抜く場所が移動していく場合もあります。
抜毛症になる原因はさまざまで、その人によって症状の度合いやパターンが違います。さらに、どうすればやめることができるのかの対策法や、治るまでの期間が違うとても複雑な病状なのです。
原因を知らないかぎり、対策はたてられません。このクセを治すには、抜毛症についてしっかりと知り、あなたに合った対策をとる必要があります。
そうすることで、どうしても毛を抜くのをやめることが難しかった人が、やめれる可能性があります。
このページでは、抜毛症について詳しく知り、体毛の中でもまつげを抜いてしまう人に絞って、どういった対策をとればいいのかを、みていきたいと思います。
抜毛症(抜毛癖・トリコチロマニア)とは
「抜毛症」とは、まつげを繰り返し自分で抜いてしまう症状をいいます。この症状には、意識して抜いている人と、無意識のうちに抜いてしまっている人がいます。
主に小学生から中高生の思春期に発症しやすい症状で、原因は以下のように言われています。
- 欲求不満
- 不安感
- イライラ
- 学校や家庭での人間関係の問題
- 受験のプレッシャー
抜毛症は毛を抜く瞬間、脳が興奮して緊張している状態で、まつげを抜くことで精神的なストレスを発散するために始まる精神疾患です。
「ストレスが原因だ」と言われても、思いあたることがない人も中にはいます。しかし、自分の体を傷つけることを繰り返しているので、一つの自傷行為になります。自傷行為は、溜まったストレスでどうにかなってしまわないように、自分を守るための行動です。
抜毛症は、まつげを抜くことでストレスを発散し、安心感を得ているのです。
症状を自覚している人の中には、まつげを引っぱって抜くのがプチプチして気持ちがよくて、癖になってやめられなくなったという人がいます。逆に、気持ちよくもなんともないのに、なぜかまつげを抜くのをやめられないという人もいます。
私も学生の頃、まつげを引っぱって抜いていた時期がありましたが、程度も軽くすぐにやめたので、ただ面白がってやっていただけのように思います。昔の話というのもありますが、どうしてそんなことをしたのか自分で考えてもよくわかりません。
このように、症状の軽い人は、抜毛症というより、日焼けして剥けてきた皮をむいたり、かさぶたを剥がしたりしてしまうような、人間によくある行動だと個人的には思います。
問題は、まつげがひどい状態になってもこの行動を繰り返し続ける人です。
まつげを抜くのを我慢するしかないと言われても、この症状の厄介なところは、自分でやめたくてもなかなかやめることができないことなのです。そのため、どうしたら治るのか困り悩み続けることになります。
中には、自分でまつげを抜いていることに気づいていなくて、それを自覚することで治る人もいるのですが、治るかどうかは人それぞれで、症状が何年も続く人もたくさんいるのです。
抜毛症を治すには
「精神疾患なので、治すには精神科や心療内科に行ってください」と言われても、精神科などは抵抗があり、なかなか行きづらい人もいるでしょう。
そんなあなたへは、自分でできることをご紹介するので、まずはそれをやってみてください。
デメリットを意識する
まつげを抜くクセを持っている人で、抜き続けるデメリットを知らない人がいます。そんな人が抜毛癖を治すには、まず、将来どんな恐怖が待っているのかを知り意識することが重要です。
- 繰り返し抜くと毛根が死に、まつげが生えなくなる
- 引っぱったまぶたが伸びてたるみ、老け顔に
- 目にゴミやホコリが入りやすく涙がでる
まつげが生えてくるには毛根が必要です。無理に抜くことを繰り返すと毛根が損傷して、二度と毛を作ることができなくなってしまいます。
現に、まつげを抜き続けた人で抜毛癖を克服しても、何年か経ってもまつげが元の濃さに戻らず、薄くなってしまったままの人がいるのです。
このように、毛根がダメになってしまったらそこからは一生生えてこなくなるので、一刻も早くやめたほうがいいでしょう。
そのほかに、まつげを引っぱるということは、まぶたも一緒に引っぱっているということです。まぶたは、体の中で皮膚がいちばん薄い部位です。そして、皮膚はいちど伸びたら最後、もとには戻りません。
まぶたが伸びてたるむことで、あなたの顔が年齢より老けて見えるようになるのは明らかでしょう。もしそうなってしまったらと思うと「ゾッ」としませんか?
このようなデメリットを知るだけで、恐怖のあまり症状が治まる人がいるのです。
まつげを抜きそうになった時は、デメリットを強く意識してみてください。
まつげを触りにくくする
まつげを無意識に抜いてしまうあなたは、抜こうとしていることを意識できるようにしてしまうのが1つの手になります。
- 爪を伸ばして抜く作業を難しくしてみる
- 全部の指にテーピングや絆創膏を巻いてみる
- ピンセットを使っているならそれを全部捨ててみる
- ゲームなど、両手をふさぐ作業をして手を使えなくする
- まつげエクステをつけてみると触ってはいけないと思い症状がおさまる人がいる
爪を伸ばしたり手にテーピングをすれば、簡単にまつげを抜くことができなくなるので、抜こうとしている自分の行動に「ハッ!」と、気づきやすくなるのです。
そのほかにも、まつげエクステをつければまつげを触っていることに気づきやすく、触ると取れると意識することでうまく症状が治まることもあります。
あとは、ゲームや料理などの両手を使う作業をすれば、手が暇にならないので無意識に抜いてしまうことを減らせます。
とにかく、抜く作業を難しくして、簡単に抜いてしまえないようにしてしまいましょう。
ストレス対策をする
ストレスがかかった時に抜いてしまうのは、あなたが感じた外に出せない思いを消化するために、まつげに八つ当たりしている状態です。そのため、なにか他のストレス発散方法をみつける必要があります。
- スポーツなどで、体を動かす
- ストレスがかかった時の自分なりの発散方法を作っておく
- できるだけストレスがかからない環境に身をおく
スポーツで発散できる人もいれば、自分の思いを紙にひたすら書きなぐることで気持ちが落ちつく人もいます。カラオケで思いっきり大声で歌ったり、車の中で人知れず叫んだり。発散の方法は人それぞれです。
あなたにあった自分なりの発散方法をみつけておくと良いでしょう。
腸内環境を整えてセロトニンを増やす
そして最近では、抜毛症の原因に、腸内環境が関係あると言われています。
脳内伝達物質であるセロトニンは、別名「幸せホルモン」と呼ばれています。不安やイライラを抑えてくれるセロトニンは、脳と小腸で作られています。セロトニンが不足すると、抜毛症のほかに、うつ病や不眠症というさまざまな精神疾患の原因にもなります。
そのため、腸内環境を整えてセロトニンの分泌を増やすことができれば、精神が安定し抜毛症をおさえることができるのです。
では、どうすれば腸内環境をよくしてセロトニンを増やすことができるのでしょう。セロトニンを増やす方法を下記にまとめてみました。
- 日光浴をする
- リズム運動をする
- セロトニンの元になるトリプトファンとる
- 腸内環境を整える食事を心がける
日光浴をする
まずは一番簡単にできる方法として、朝起きたら太陽の光を浴びることです。太陽光を浴びることで、セロトニンの分泌量を増やすことができます。
これだけで抜毛症が治る可能性があるのなら、やらない手はないでしょう。
注意点は、日光は体に有害な光も含まれていることです。長時間浴びると反対に老化や皮膚ガンなど体を害してしまいます。しかし、ある程度ならまったく問題なく健康にとてもよいのです。
1日15分を目安に日光浴を行うとよいでしょう。
リズム運動をする
次に、運動をすることでもセロトニンの分泌を増やすことができます。
特に効果的といわれているのが、単純なリズム運動です。例えば、ウォーキングやジョギング、自転車、スクワット、フラダンスなどのゆるやかな動きを繰り返す運動のことです。
一般的な運動とは少し異なりますが、食べ物をよく噛んで食べるというのもリズム運動の一つに入ります。ガムを噛むだけでも効果があるというのは驚きです。
体を動かすのがどうしても苦手というあなたは、しっかり咀嚼することから始めてみてはいかがでしょうか。
リズム運動は、「1秒間に2拍」が最も効果が高く、「5〜30分」の間で疲れすぎない範囲でやるとよいです。そのくらいゆるやかな運動でないとセロトニンを増やす目的では意味がありません。
ちなみに、激しい運動ではセロトニンを増やすことができません。簡単な動きを繰り返しおこなうような、リズミカルな運動を一つとりいれてみてください。
トリプトファンを摂取する
「トリプトファン」は、タンパク質から分解されてできるアミノ酸で、セロトニンを合成する材料です。主に、お肉・魚・乳製品に特に多く含まれています。そのほかにも、麺類や大豆にも多く含まれています。
そして、タンパク質をトリプトファンに分解するには、ビタミンCが必要です。
トリプトファンは炭水化物と一緒に摂取することで脳によく運ばれ、脳内セロトニン量も増えます。
しかし、トリプトファンだけではセロトニンを合成することはできません。生成には、トリプトファンのほかに、ビタミンB6が必要になります。とは言っても、トリプトファンが含まれている食品にはビタミンB6が含まれていることが多いので、そこまで気にすることはないでしょう。
トリプトファンとビタミンB6がセットになったサプリメントを摂取るという方法もありますが、バランスのよい食事をしていれば、どの栄養素も不足することはないです。
このように、タンパク質からトリプトファン、トリプトファンからセロトニンが作られるまでにはビタミン類も必要になります。脳内セロトニンを増やすにも炭水化物が必要です。
栄養が偏るとうまくトリプトファンを作れなくなるので、トリプトファンが多く含まれているからといって、お肉だけを食べる、魚だけを食べるなど偏らないように気をつけましょう。
腸内環境を整える
腸内環境を整えることで、セロトニン生成能力を高めることができます。
ここで重要なのが、腸内細菌がビタミンを食べ物から取りだず役割をしていることです。
腸内環境が悪くなると、腸内細菌の働きが悪くなり、セロトニンの合成に必要なビタミンを食物からうまく取りだすことができません。そのうえ、タンパク質を分解してトリプトファンにする力も弱くなります。
すると、当然ですが、脳で作られるセロトニンも腸で作られるセロトニンも減ってしまいます。抜毛症を発症した人は、腸内環境について意識し心がけることが大切です。
腸内環境をよくするには、梅干し・納豆・醤油・味噌などの発酵食品を多くとるとよいです。発酵食品は、腸内の善玉菌を増やして腸内細菌のバランスを整える働きがあります。
そのほかにも、善玉菌のエサになるオリゴ糖は、腸内環境を改善するのに強力な味方です。きな粉や甜菜、大豆などの豆類、特に甘酒に多く含まれています。
しかし、食物からとれるオリゴ糖は微量のため、十分な量を摂取するのは難しいかもしれません。腸内環境を本気で改善したい場合は、乳酸菌とオリゴ糖のサプリメントを考えてみてもよいかもしれません。
腸内環境を悪くする原因は、ストレスや睡眠不足のほかに、欧米食や外食、添加物の多い加工食品などの食習慣があります。
発酵食品やオリゴ糖で腸内環境を整えて、セロトニンの分泌量を増やしましょう。
どうしてもやめられない時は病院へ
これらを試してもやめられない場合は、病院にいくしか道は残されていません。
しかし、病院は薬での治療がほとんどだと思うので、あくまでも最終手段として考えてみてください。薬は症状をおさえるもので、根本原因を取りのぞくものではないからです。
一番大事なのは、何が原因でまつげを抜く行動をしているのかを、あなた自身がよく考えて、原因を解決する、もしくは対策を考えることです。
もしも、精神的な悩みを持っていて周りに話せる人がいない場合、心療内科で話を聞いてもらうことは悩みを和らげる対策になります。その場合は病院という選択肢でよいと思います。
そのほかの場合は、原因がわかっていて対策をとっても症状が治らないときに、病院へいくのがよいでしょう。
まつげが貧毛になってしまったら、「まつげ育毛剤」か「まつげ美容液」を使ってみる
先にお伝えしたとおり、まつげは抜き続けると、毛根がダメになってしまい、薄くなったり生えなくなったりします。
せっかく毛を抜く症状が治まったのに、まつげが貧弱になってしまい、後悔している人が多いのも事実です。
そんなときに試すとよいのが「まつげ育毛剤」や「まつげ美容液」です。
まつげの育毛剤、まつげ美容液を使ってみることで、まつげが復活する可能性があります。
まつげ育毛剤
・グラッシュビスタ
・ラティース
・ケアプロスト
・ルミガン(本来は緑内障治療薬)
これらは病院やネットでの個人輸入で購入することができます。
病院は商品代プラス治療代、しかも自費診療になるので保険が効かないため高額になります。一方、個人輸入では、とても安く手に入れることができます。
しかし、個人輸入業者は、安全性や信頼性を考えるとおすすめできません。実際に、薬品メーカーがおこなった調査で判明したのは、個人輸入業者から購入したの商品の55.4%は偽造品だったのです。
病院で取り扱っているのは、「グラッシュビスタ」と「ルミガン」がほとんどだと思います。取り扱いのない病院もあるので、事前に確認して行くとよいでしょう。
基本の診療科としては、美容外科、美容皮膚科、眼科ですが、他の科でも置いている場合があります。
まつげ育毛剤は治療薬です。副作用があることを十分理解したうえで使用し、症状が改善したあとに長期間使うことはおすすめしません。
まつげ美容液
・リバイタラッシュアドバンス
・ラピッドラッシュ
これらは「育毛タイプのまつげ美容液」です。
まつげ美容液を選ぶときに重要なのは、育毛タイプであるかどうかです。
まつげ美容液には、発毛させることができる「育毛タイプ」と、毛の質をよくするだけの「トリートメントタイプ」の2種類あります。
ほとんどのまつげ美容液がトリートメントタイプで、強く健康なまつげに育てることができても、貧毛になった毛を復活させる力はありません。そのため、まつげが貧毛の場合は「育毛タイプのまつげ美容液」を選ぶ必要があります。
個人的な意見ですが、「リバイタラッシュアドバンス」と「ラピッドラッシュ」は、まつげ育毛剤とまつげ美容液の間の位置づけと思ってよいと思います。
なぜかというと、本来、まつげ美容液ではまつげを育毛することはできません。しかし、この2点は育毛できるまつげ美容液だからです。
実際に私も使ってみましたが、その効果はほかのまつげ美容液と比べると全く違うレベルのものです。
病院に抵抗がある、もしくは少しでも価格をおさえたい人は、育毛タイプのまつげ美容液を使ってみてください。
これらも絶大な効果から人気があり、偽物が出回っているため、公式サイトでの購入が間違いないでしょう。
まつげを復活させる条件
「まつげ育毛剤」や、「育毛タイプのまつげ美容液」を使ってまつげを復活させるには条件があります。それは、毛の毛根が残っていることです。
そして、まつげを抜く症状が治まってから使うようにしてください。
なぜなら、症状が治ってないのに育毛剤や美容液でまつげを生やしても、また抜いてしまうからです。
あなたがまず一番に考えることは、まつげを抜く行為を止めることです。止めるには相当の覚悟がいる人もいると思います。
しかし、まつげはあるのとないのでは顔の印象を大きく変えてしまいます。将来、まつげが生えなくなった顔を見て悲しむ自分を想像してみてください。
あなたが後悔しないためにも、対策や考え方が少しでも参考になればと思います。
まとめ
抜毛症の発症する原因や症状にはさまざまな組み合わせがありました。
症状が軽いクセレベルなら、まつげが生えてこなくなるというようなデメリットを知ることですぐに止めることができる人もいます。反対に、症状が重くやめたくてもやめることができず、何年にも渡って苦しみ続ける人もいます。
ストレスが引き金となって始まる症状のため、原因をしっかり考え、ストレスを取りのぞくか発散をするように対策をとることが第一歩です。
簡単に毛を抜いてしまえないように両手をうまく使えないようにするなどの対策をするのも1つの方法です。
そして、ストレスを受けにくい体にするために、腸内環境を整えることが、抜毛症改善のために一番有力とされています。腸内環境がよくなり、セロトニンの分泌量が増えることで精神的に安定し、ストレスにも強くなるということでした。
セロトニンの生成量を増やすには、太陽の光を浴びる、リズム運動をする、トリプトファンの多い食品、発酵食品やオリゴ糖をとるなど食生活を正すことがありました。
それでも、どうしてもやめられない場合は病院へいくことを考えたほうがよいと思います。その場合も、薬や病院任せにするのではなく、同時にあなた自身も今あげたような対策をおこなうようにしましょう。