インターネットにはたくさんの情報が出まわり、「まつげパーマは美容師免許をもっている人が施術するのも違法」と聞いたり、「美容師免許をもっていればしてもいい」と聞いたり、なにが本当の情報なのかわからない人が多いと思います。
結論からいうと、まつげパーマを施述するには専門の資格が必要です。
まつげパーマの健康被害の問題が大きくなるにつれ、法律できびしく規制されるようになってから、世の認識も変化していきました。あいまいな意見がインターネットに散らばっているのは、その時代その時代で解釈が変わり、嘘の情報や古くなった情報が残ってしまうからです。
さらに、使用するパーマ液も問題のタネになっていて、少しややこしい話になっています。
このページでは、まつげパーマを施述するにはどんな資格が必要で、法律に対する本当に正しい情報はなんなのかを、わかりやすく解説します。
まつげパーマを施術するには美容師免許が必要
まつげパーマを人に施術するには美容師免許が必要です。
まつげの美容が流行りだした2000年以降、まつげエクステやまつげカールを美容メニューとして提供するお店が徐々に増えていきました。当初は、エステサロンやネイルサロンなどで美容師免許を持っていない人も普通に施述を行っていました。
まつげエクステやまつげパーマの需要が増えると同時に、まつげ美容での健康被害などのトラブルも増え、美容業界で問題になりました。
そして、2008年、事態を重くみた厚生労働省から、まつげに係る施述は美容行為にあたると通達があり、まつげエクステやまつげパーマは美容師のみが行うことを許される技術にはっきり位置づけされ、認識されるようになりました。
美容師は、美容師法の規定により、美容所以外では美容の業(ぎょう)を行なってはいけません。まつげパーマができるのは美容所登録された美容所のみなのです。広告などで、まつげ施述のできるお店に美容所登録サロンと記載されているのを見たことがある人もいると思います。そこにはこういった理由があったのです。
法整備が進むにつれ取り締まりが厳しくなり、今まで無認可のサロンや無資格でまつげパーマをしていたお店や人が摘発されるようになりました。そうしてまつげパーマをしているお店は減っていきました。
たまに、お金をもらわなければまつげの施述を人にしてもよいという意見を聞くことがあります。美容の「業(ぎょう)」とは、その行為を反復しておこなうことを言います。そのため、お金をいただくいただかないは全く関係ないのです。まつげパーマを何度も繰り返し人にかけることは、美容師が美容所でしかおこなうことができません。
「美容師免許を持たずにまつげパーマをおこなった場合」や「美容師が美容所以外の場所でまつげパーマをおこなった場合」は美容師法違反になります。
ちなみに、理容師もまつげパーマをすることは許されていません。
ただし、美容師以外の人でもまつげパーマを自分で自分にかける、いわゆる「セルフまつげパーマ」は違法にはなりません。これは、髪のパーマ液をドラッグストアーなどで買ってきて自分でかけても大丈夫なのと同じです。
パーマ液をまつげに使うのは薬事法違反ではない
インターネットを見ていると、頭髪用のパーマ液をまつげに使うことは薬機法(旧薬事法)違反になるという意見がとても多いです。たくさんの意見があり世の認識がバラバラなので、私にはいちばん正確さがわからない部分と感じました。
そこで、実際に公的機関である保健所に問い合わせをしてみました。すると、インターネットなどでは見当たらなかった事実がわかったのです。
2004年に厚生労働省より「頭髪用パーマ液をまつげに使用しないように」と自粛をもとめる通達がありました。当時は医薬部外品のパーマ液をまつげに使用しているサロンが多く、まつげパーマの流行とともにトラブルが増えたことによる注意喚起でした。
まつげにパーマをかけるには、まつげ用のパーマ液を使わないといけないことになります。
医薬部外品であるパーマ液は、製造と輸入に厚生労働省の承認が必要です。そして、認可を受けるパーマ液は頭髪以外に使ってはいけないことを明記しなければなりません。
国は目元に使うのは危険であると、まつげ用パーマ液は認可しない方針です。そのため、頭髪用パーマ液と同じ医薬成分で、まつげに使用する用途での製造をしないように製造者に指導がおこなわれました。製造者と販売者はこれを破ると薬機法違反になり処罰されます。
つまり、日本ではまつげ用パーマ剤は製造が許されていないのが現状です。今現在、国内の医薬部外品であるパーマ液に、まつげ用のパーマ液は存在しないということになります。
この流れから、医薬部外品のパーマ液を頭髪以外のまつげに使うことが薬機法違反になると思っている人がとても多いのです。
そこで、販売側は、韓国・台湾・中国などで認可されている、薬機法に規制されることがない成分で作られたまつげ用パーマ液を、「まつげトリートメント剤」や「まつげカール液」の名前で化粧品や雑貨扱いで輸入販売するようになりました。
そして、それを利用するサロン・技術者が増えたのです。現在、ほとんどのサロンは薬機法違反にとわれないために、こういったパーマ剤を使用して法の目をくぐりぬけています。
ここまでは一般的に認識されていることだと思います。
では、本当にパーマ液をまつげに使うことが薬事法違反になるのか。以外にも保健所の答えはノーでした。
実は、薬機法の規制を受けるのは、パーマ液を製造している「製造業者」とそれを販売する「販売者」のみになります。つまり、「まつげパーマを施述する人が医薬部外品のパーマ液をまつげに使っても、それ自体で違法になり処罰されることはない」という回答でした。
あくまでも、施述者とお客様のあいだの問題だそうです。
なんだか予想外の答えに拍子抜けし、「なんだそれ(笑)」と心の中で突っ込みを入れつつ、現状ではそれが公的機関の正解ということがはっきりしました。
まとめ
まつげパーマを人にかけるには、美容師免許が必要でした。そして、まつげパーマをおこなう場所は美容所登録された美容所でのみ許されています。
パーマ液をまつげに使用するのは薬機法違反になると思っている人が多いですが、薬機法は製造業者と販売者のみを取り締まる法律ということが明らかになりました。
このことから、まつげパーマを施述するのは、美容師であれば違法性の問題はないことがわかりました。
この記事を書いた人
まつげの専門家:もりねえ
11年の経験をもつ現役のアイリスト。
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